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ライナーノートより

友達の結婚式でスピーチの代わりにハミングに言葉をのせてみました。
たか兄(古川大)がまるでキャンバスにたくさんの素敵な色をちりばめたかのようにピアノの音に変えた!その瞬間の驚きと感動は今でも覚えています。真っ直ぐで小っちゃな大根と子供達との出会い、音楽を教え育ててくれたたか兄との出会い、そして岡さんとの出会い。みんなの力が集まったCDになりました。

吉野 崇

ライナーノートより

日本を離れてアメリカに住み始めた当初、カルチャーショックの私は、よく夜空を見上げては、“月は同じなんだなあ”と思って、ほっとしたりしていました。あれから、ほぼ半生を異国で根無し草として生きてきて、タカ(吉野崇のアメリカでの愛称TAKAから)の歌に出会ったとき、“家”に帰った安堵をおぼえました。なんという温かさ、やわらかさ!心の故郷に帰った感じです。長い旅から家に辿りついて、コタツに足を入れた時のような、暖かさと元気を与えてくれる彼の歌が、多くの人に、生きる勇気を与えてくれる事を願ってやみません。

クリーヴランド管弦楽団第一ヴァイオリン奏者
橋爪 美穂

「ソングス」 Producer’s Note

 吉野崇君と初めて会ったのは今から5年程前のサキソフォビアの東北ツアー中のことで、「平泉のお菓子工房、吉野屋のお兄さん」としてでした。優しい声のさわやかな青年、という印象で、その時は音楽をやるとは知りませんでした。2年前(2009年)の夏、岩手一関市大東町の山の中でのイベントで吉野崇君と古川大くんのユニット、「takaTAKAα」と一緒になり、初めて彼の曲と歌声を聴き、何曲か飛び入りで共演もさせてもらって、その素晴らしさにびっくりしました。
 翌2010年の1月、千厩町でのサキソフォビアとドリームキッズの『世界中のこどもたちが』の録音のあと、平泉の崇君の家に泊めてもらった折り、夕食後ピアノを囲んで崇くん、古川くん、たまたま泊まり合わせた横浜のシンガー森美紀子さんらと自然発生的にファミリーコンサートがはじまり、崇くんの曲でジャムセッションとなりました。その時あらためて彼の音楽の素晴らしさに感銘を受け、「CDを作りたい」という思いを持ちました。そしてその直後、彼の代表曲「大根コン」が「NHKいわてみんなのうた」でとりあげられることとなり、4月からオンエアされ地元で大きな話題となりました。
 本アルバムの録音は2011年2月に千厩の「角蔵ホール」で、takaTAKAαのふたりの他、曲によって私や崇くんのお母さん、ドリームキッズ、周辺の大人たちも参加して3日間にわたって行われました。いわゆる職業的音楽家は私だけの録音でしたが、takaTAKAαのふたりはプロ顔負けの集中力を発揮し、ほとんどの曲は同録の一発録りでした。永年プロミュージシャンとして色々な録音に携わってきた私にとっても、非常に特殊な、夢のような楽しい録音でした。なによりも「生の瞬間を切り取る」という音楽の本質を再認識する現場でした。
 録音を終えてCDとして作品を完成させる作業にかかろうとした矢先に、あの大震災が起こりました。自らが被災者となった彼らも、関東にいる私も色んな意味で震災による影響を受け、CD制作の作業は一時中断を余儀なくされました。時が経ち落ち着きを取り戻す中、制作は再開されやっと完成へとこぎつけることが出来ました。このアルバムは震災をまたがって制作されたという意味で私にとっても非常に特殊な意味を持つ作品となりました。
 崇くんの作品は彼の日常から生まれた、言ってみれば極めて個人的なうたです。それゆえにプロの作る音楽には無いきらめきをもっています。震災の起こる以前に彼が書いた曲、自分への応援歌として書いた曲は、震災を体験した東北、復興に向かう日本の人々の応援歌ともなるのではないかと思います。
 このアルバムに寄せて、平泉のイラストレーター矢崎静香さんが、震災直後に崇くんの歌を聴きながら素晴らしい絵を描いてくれました。色々な人の思いがこめられた作品です。たくさんの人に聴いてもらえることを願っています。

岡 淳

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